冬の頂にいるような寒さと思っていたけどももっと寒い気がするほどの冬空

二兄は車いすを家にしまうとき

 

 

電気カーペットの

 

 

コンセントのコードの上に

 

 

車いすのしゃりんが

 

 

踏んでいても気にしない

 

 

自分はいつも

 

 

コードを踏んじゃうと

 

 

 

断線しちゃうかもしれないから

 

 

コードをよけるようにして

 

 

車輪をズラして置くようにしている

 

 

床がぺこぺこしてて

 

 

踏むと軋んで音がする

 

 

ヘタしたらフローリングの床が

 

 

割れるかもしれないから

 

 

そこを踏まないようにして歩くけど

 

 

二兄は気にせずに

 

 

 

ガシガシ普通に歩く

 

 

そのたびにフローリングの床がきしむ

 

 

床が割れてしまうような音が

 

 

するが気にしない

 

 

そういう鈍感さが

 

 

もう合わない

 

 

でもこれはしょうがない

 

そういう星の元に

 

 

生まれたんだから

 

 

諦めるしかない

 

 

仕事終わりに

 

 

品川に行ってATMに記帳して

 

 

電車に乗って帰ったけど

 

 

間違えて

 

 

逆方向の電車に乗ってしまった

 

疲れているのかもしれない

 

 

多元宇宙は永久に広がる

 

 

っていう設定が本当なら

 

 

マルチバースの別の宇宙に

 

今と違う自分が存在して

 

今と違う環境で

 

 

今と違う性格で

 

 

生きているんだろうけど

 

 

その自分と対話出来たら

 

 

きっと面白いのにと思う

 

 

善な自分と

 

 

悪な自分もいるかもしれない

 

 

そういうのを考えるだけで

 

 

現実逃避できて楽しい

 

 

今とは違う自分はどんなだろうか

 

 

価値観も全然違う自分

 

 

二兄のようなことをしても

 

 

全く気にならない自分も

 

 

どこか別の宇宙にいるんだろうけど

 

 

今ごろ何を考えて生きているのか

 

 

あるいは宇宙が一巡している

 

 

っていう考えもあって

 

 

今体験したことは

 

1巡前の自分も体験している

 

 

それは無限に繰り返されてて

 

 

数億年後に

 

 

地球が消えて太陽が消滅して

 

 

宇宙が崩壊して

 

また宇宙ができて

 

 

太陽ができて

 

 

地球ができて

 

 

自分が生まれて

 

 

同じようなことを

 

 

体験して

 

 

 

死んでを繰り返してる

 

 

だとしたら

 

今は何巡目だろうか

 

 

1巡前の自分も

 

 

同じことを考えてたのか

 

 

よく分からないけど

 

 

よく分からないまま

 

 

そのうち死んでいく

 

 

夕飯は二兄がスペアリブを作ってた

 

 

仕事中は

 

なんとなしに

 

 

エブエブのウェイモンド・ワンみたいな

 

 

感じで過ごしてた