母さんにはずっと生きていてほしい
母さんの死にたいっていう
呪いを解いてあげたい
死にたいってな
呪いを解いてあげたい
でもそれも母の人生の一部
こっちの身勝手な自己満足感から
母さんに透析をして
生きててほしいと頼んだ経緯がある
それがあって
母は透析をせずに
もう死にたかったのに
カテーテルを首に着けて
透析をしてくれて
生きてくれている
子供のために
ああどうしたら
母にとって何が良かったんだろうか
とてもわからない
今日も暑くって
月曜日の暑さがとても嫌だった
朝から暑い
顔を剃るのを忘れた
仕事は思いの外多かったけど
終業時間前には終わってた
残りもあったみたいだけど
終業時間だったから帰った
電車が混んでて
ところどころ止まって
遅れ気味だった
面会時間が19時半までだから
間に合うか焦りながら
走って病院に行った
母はもう夕飯を食べ終わって
横になって寝てた
面会の15分の間は
目を覚ますことはなかったけど
また来るねと言ったら
うなずいて反応していた
うなずいていたように見えた
確かに少しうなずいてた
寝ているけども体で耳で
話を聞いてくれたように思う
起こせば起きたかもしれないけど
ずっと手を握って
今日はこうだったよとか
昨日こんなことあったよとか
明日は1時間早く来るからねと
色々と話しかけてた
心が苦しくなる
母を解放してあげたい
呪いを解いてあげたい
何かできることがないだろうかと
母に聞いたことがあったけど
大丈夫よと言われたことがあった
昨日寒いと震えていたから
風邪でも引いてて
寝かされてたんだろうか
ああ本当に
あんな病院に入れられてしまって
母が可哀そうでしょうがない
あの病院に居れたがっていた
二兄やあの病院の医者が憎い
母を寝かせっぱなしにして病床云々
ってことだろうか
二兄はそれで手が離れて楽になりたかった
ってだけだと思うし
特に二兄は早く消えてほしい
神社でもそう祈った
そんなことを祈るような息子は
母から見たら
どうみえるだろう
本当に辛い
自分がゴルゴ13のような精神だったら
そうじゃなくても
もっと強い気持ちがあれば
母を病院から出して
家から通院できる先を探して
一兄と一緒に母を家でみるくらいのことを
すれば良いだけなのに
どうしてそれができないんだろう
家だとこうかもしれないとか
もっとたいへんな目にあうかもしれないとか
自分に都合の良い余計なことを考えて
結局何もしない
日々日々母が衰えていく
自分が動かないから
母が寝たきりになる
寝たきりにさせる気でいる二兄と
あの病院の医師と
同じじゃないか
自分が立ち上がれば良いのに
それをしない
自分に対して思うことがあるけど
何で何もしないで
静観しているんだろうか
何故ベストを尽くさないのか
それで母が母がと
言ったところで何もならないのに
何も変わらないのに
心に不安がある
本当にそれが母にとって良いのだろうかと
躊躇してしまう
考えないで
体で反応して
心で動けばいいのに
躊躇してしまう自分に甘いのと
母に対する思いはそんなものなのかと
その程度だったのかと
自分が嫌になる
毎日母に面会するのは
罪悪感を打ち消したいからなのかと
そんなつもりはないのに
もう嫌になる
自分が嫌になる
明日は19時から土日のバイトの
オリエンがあるので
17時に早退して
18時に病院に行く
18時は夕飯を食べている時間帯だから
母は起きているかもしれない
自分の夕飯は量が多くて
おかずは全部食べたけど
ご飯は残してしまったので冷凍した
二兄が14時ごろに行ったときは
眠いと言ってたけど
母は起きていたらしい
家でも
母は19時ごろにはいつも
もう寝てた時間帯といえば
そうなんだけど
不安でしょうがない
そのまま寝たままなんじゃないかと
思ってしまう
最後の会話は
気を付けてねだったっけ
献体の白菊会の登録を解除する
連絡を入れた
母の登録を解除した
最初は献体したかったみたいだけど
やっぱりいやねと言ってて
それから何年もたってしまったけど
やっと退会できた
電話一本で話が終わったので
もっと早く連絡すれば良かったと思った
ガリガリ君の梨味を食べた
おいしかった
ガリガリ君を食べている間は
何もかも忘れられる
すべての不安材料を
消させてくれる味がする
また明日も食べたい
寝ているときも
同じで何も考えないで済むから
ずっと寝ていたい
母と一緒に眠っていたかった